NOVEL



ファンタシースターオンライン
『MEMORIES』

第8話 『リミッターオフ!』−カエデ−


私はパイオニア2のギルド本部内のラボで生まれた。
そこで私は過去の優秀なレイキャシールの戦闘データを移植された。
生まれたばかりのアンドロイドがすぐに前線に立てるように移植は頻繁に行われている。
そして私もその一人だった。
ラボから出た私はすぐにハンターズとして登録され、ありとあらゆる任務に就いた。
どんな依頼もそつなくこなす私は誰かと組むと言うことは無かった。
移植された戦闘データがあまりに優秀だったためにどんな相手であっても最終的に足手まといになってしまうからだ。

そんな時、エアと出会った。
最初は頭数あわせで誘っただけで誘った。
その時の彼女は言いたいことがあるくせに何も言わない。何をやらせても鈍くさい。
正直苛つかせるだけの存在だった。
でも1ヶ月に渡る依頼任務の中でいつしか彼女と一緒にいることが楽しく思えるようになっていた。
私はそんな心境の変化に戸惑いを感じた。
それが何なのか理解できなかった私はそれからギルドカウンターの前でどの依頼を受けるか迷っている彼女を見つけると必ず捕まえて一緒にやるようになった。

そしていつの間にか私とエアは本当の親友となっていた。
結局今もあの時、どうしてそう思ったのか分からないまま。
でもそれで良いと思っている。
こうしてエアと一緒にいられるんだから……。



でもその大切なエアが……。
私にとってとても大切な存在のエアが……。
石につまずき転んだ私を庇いエアが背中を斬られた。
そしてエアは力無く私の方へ倒れてきた。
「エア〜〜〜〜〜っ!!!!!」
私はすぐにエアの身体を抱きかかえた。
その時右の掌にぬるっとした感覚が走る。
右手を見るとエアの血で真っ赤に染まっていた。
「カ……エデ……無事?」
エアはこんな状態になりながらも私の事を心配している。
「私のことよりも……」
エアは私に微笑みかける。
「あなたが……無事でよかった…………」
その言葉を最後にエアは意識を失いの全身から力が抜けた。
「エア……エアぁぁ!!」
私はポケットからスターアトマイザーを取り出すとエアの上で握りつぶす。
それと同時に発光し、その光はエアの身体を包んだ。
すると出血だけは止まった。そう出血だけは……。
「ずいぶんと友達思いなんだな。早く病院に連れて行った方が良いぞ」
私達の前に立つ奴はそう言う。
「あんたなんかに言われなくてもそうするわよ。でもそれは……あんたを倒してからだ!!
私はキッとそいつを睨んだ。
そしてエアに視線を戻し、彼女を近くのベンチに寝かせた。
「エア……十分だけ待っててね」
そう言い残すとエアに被害がいかないように離れた場所へと移る。
「お前に俺を倒せるとでも思うのか」
「やってみなきゃ分からないでしょ」
私は右手にセイバー、左手にハンドガンを持つ。
「リミッターオフ!」
その言葉と共に身体の動きを制御しているリミッターが解除される。
そして私は一気に斬りかかっていく。
だが、セイバーでの攻撃は鎌で遮られる。
その瞬間、私は左手のハンドガンを奴の腹部目掛け撃つ。
でも奴はそれを先に読んていたのか撃つ前にハンドガンを蹴り上げ、後方へと逃れた。
「お前……移植組だな」
奴は鎌を構え直すとそう言う。
「だからどうした! てやぁぁぁぁ!!!」
再び奴に迫る。
すると奴は鎌を構え、私の動きあわせて振り下ろそうとした。
私はその前に急激に横へと移動。
奴はそれを追って鎌を横になぎ払うが、それよりも早く奴の真横に出た時点で上へと飛んだ。
そして、ハンドガンの変わりにマシンガンを抜くと奴の頭上から乱射する。
しかし、着弾よりも早く、奴の姿が消えた。
「!?」
「こっちだ」
奴は私の真横にいた。
そして……。

”どかっ!!!”

「あう!」
私は蹴り飛ばされ、地面に叩き付けられた。
地面に落ちたセイバーを拾うと何とか立ち上がる。
しかし身体の各部が悲鳴を上げ始めていた。
(もう限界なの!?)
「お前は誰のデータを移植された」
「それが……貴様に何の関係がある!」
私は無理矢理身体を動かし、再び奴に迫る。
そして横に動こうとした時、奴はそれよりも先に動き、私の目前に現れる。
「!!」
「それ以上動けば取り返しのつかないことになる」
「な……がっ!」
どこに持っていたのか奴のセイバーが私の腹部を貫く。
私は右手のセイバーを振り上げ斬ろうとした。
だが、そこで私の機能が停止していくのが分かる。
その時、ナツキさんの声が聞こえた気がした。
でもそれを確かめることなく私は……………………。


…………………………FREEZE…………………………




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<あとがき>
絵夢「ついにカエデもやられました」
恵理「……やりたい放題だね」
絵夢「次回いよいよナツキが登場します」
恵理「これで決着が着くの」
絵夢「謎」
恵理「おい!」

絵夢「そんなわけで次回もお楽しみに〜」
恵理「どうなる事やら(-_-;;」
絵夢&恵理「まったね〜〜」