NOVEL



ここは夢園荘AfterStory
Fragment Age

プロローグ1 <睦月 I>


8月、夏まっただ中。
私は先週から住み始めた夢園荘201号室で、Tシャツと短パン姿でフローリングの床に横になっている。
横を見るとまだ開封されていない段ボールの山。
暑くて片づける気も起きない……必要な物は先に片づけたから追々でいいか。
開け放たれた窓から入ってくる風がうっすらと汗ばんだ肌に当たり気持ちがいい。
しかしはっきり言って1月生まれの私にはこの暑さは耐えられない。
クーラーが備え付けられているんだからつければいいんだけど、どうもああいった人工的な風は好きになれないみたい。
本当にやっかいな体質……。


私の名前は水瀬睦月。
現在19歳で大学2年生でさっきも言ったとおり1月になれば二十歳になる。
まぁそんなのはどうでも言いんだけどね……。
今の私の最大の問題は未だに彼氏がいないこと。
自慢じゃ無いけど彼氏いない歴19年。
「あ〜あ、彼氏欲しいなぁ」
天井を見上げてつぶやいてみる。
………やっぱり虚しかった(涙)


話を戻すけど何故私が夢園荘にいるかというと、実は今年の春、葉月お姉ちゃんが結婚した。
相手の名前は雄三さんと言って、澪さんの旦那さんの従弟とのこと。
お姉ちゃんは澪さんの勧めでお見合いをして結構いい感じで進展していたんだけど、私に彼氏と呼べる人がいないからと言う理由で結婚を拒んでいた。
お見合いから1年近く経っても結婚する気配が無かったけれど、「お姉ちゃんの事でしょ、私のことはどうでも良いでしょ」と言う私の言葉が決めてとなり結婚と相成りました。
しかも入り婿。
お父さん達も神社の跡取りが出来たって大喜びで、そりゃもう大変だったんだよね。

……とまぁここまでは良かったんだけどね。

まったく新婚だからって朝から晩までベタベタベタベタ……。
『おはようのキス』に始まり、『行ってらっしゃいのキス』、『お帰りなさいのキス』、寝るときは『お休みのキス』……。
それ以外でも絶対にキスしまくってるはず!
しかも雄三さんからではなくほとんどお姉ちゃんから!
あんなに結婚を拒んでいたのに、いざ結婚したらどうしてってぐらいに。
お父さんやお母さんは「新婚さんは良いわねぇ」とほのぼのとしてて、それだけならまだしも、自分たちも対抗してベタベタし始める始末。
はっきり言って一つ屋根の下に新婚家庭は二つもいらないって言うの(怒)
朝から晩までいちゃつくのが一組だけでも苛ついていたのにそれが二組になってさらにストレスが溜まる一方!
私に彼氏でもいればそんなこと無かったんだろうけどそれは後の祭り。
そう言う経緯で私は家を出て夢園荘で生活することにしたの。
家を出ると言ったとき反対されると思ったんだけど、住む場所が夢園荘だって言ったらあっさり了承されたのは意外だった。

前々から思ってたけど卯月お姉ちゃんの駆け落ちの一件でお父さん達って丸くなったのかも知れないな……。


でも何で私に彼氏がいないんだろう。
お姉ちゃん達としっかりと血の繋がった妹なんだからいてもおかしくないはず何だけどなぁ。
確かに高校の時とかラブレターとか貰ったりしてたけど、相手が好みじゃないから断ってきたのも事実。
でもそう言うけど私はそれほど好みが高いわけじゃないよ。
強いて言うなら、高志お兄ちゃんや夏樹お兄ちゃんみたいな人がいいなぁとはずっと思ってるけど。
そういえば随分前にそのことを空お姉ちゃんに言ったら、「それは高望みし過ぎ」って言われたっけ……そうなのかな?



そんなわけで 水瀬睦月19歳、ただいま彼氏募集中です!



























……この際だから一夏の恋でも良いんだけなぁ(溜め息)



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<あとがき>
絵夢「ずっと待っていた人、お待たせしました! 『ここは夢園荘 Fragment Age』スタートです」
恵理「やっとですね〜。でも睦月ちゃんが19歳って事はLSからずいぶんと時間が経ってる?」
絵夢「LSのラストで楓と冬佳が生まれてから4年なんで2006年」
恵理「ふあ、ずいぶんと時代的にも未来に進んでるね」
絵夢「まぁ開始直後、こんなにやるとは思ってなかったからね」
恵理「あははは(^^;」
絵夢「そんなわけでこのプロローグ1は主人公の一人睦月が夢園荘に来る経緯を書きました」
恵理「睦月ちゃんの気持ちもなんとなく分かるような……(^^;」
絵夢「で、次はプロローグ2としてもう一人の主人公の話を書きます」
恵理「だれ?」
絵夢「ちゃんとここ夢に出てる娘だよ」
恵理「……内緒なの?」
絵夢「まだ内緒」
恵理「であ次回を楽しみにしましょう」
絵夢「そう言うわけで次回『プロローグ2』をお楽しみに」
恵理「ではではまったね〜」





恵理「マスター、ひさびさのここ夢でノってる?」
絵夢「そうかもしれん……」